セルフエステのススメ
フェムテックケアとは、「Female(女性)」×「Technology(テクノロジー)」の造語で、女性ならではの健康課題を、テクノロジーを使って解決できる商品(製品)やサービスのことを指します。
2012年にドイツの月経管理アプリ”Clue(クルー)”の誕生を発端に、2013年にドイツの起業家アイダ・ティン氏によって「フェムテック」という言葉が生まれたと言われています。
言葉がつくられたことで市場ができ、それに参入したり起業したりする企業が増え、アメリカの調査会社(CB Insights)によると2025年までには500億ドル(約6.5兆円)の市場になると予測されています。
経産省は2021年度から補助事業を開始するとして、日本でも関連の企業が増え、推進されてきています。
フェムテックケアは、これまで“女性だから仕方ない”、“ガマンするしかない”とされてきた女性特有の健康課題に対する解決を推進していく取り組みです。
月経・妊娠・不妊・産後ケア・更年期・婦人科系疾患・セクシャルウェルネスなどが一般的で、それぞれにボディケアとメンタルケアの両方が含まれます。
Technology(テック)の技術が使われていなくても、女性の健康を支えるものが「フェムテック」と呼ばれており、技術的な側面より”女性のための”といった側面が強い言葉になっています。
なぜ今、フェムテックケアが注目されているのでしょうか。
2016年4月に女性活躍推進法が施行され、女性の活躍が国を挙げて推進されるようになりました。
しかし、女性は働いている間にさまざまな健康課題に直面します。月経による不調・妊娠・不妊・出産・更年期・婦人科系疾患…。
女性の社会進出活躍推進には、女性の健康課題に対するサポートが必要であり、その役割としてフェムテックが注目されています。
女性は50歳ごろまで毎月月経による不調が訪れます。不調の大小には個人差があるものの、ホルモンバランスの変化や生理用品によるストレスなど、不調の要因は多岐にわたります。さらに50歳前後にほとんど必ず訪れると言われる更年期症状は、これまで個人の問題とされていて、社会からの理解や共感を得ることができず女性の社会活躍機会を奪っていたのです。
しかし、最近ではこれらの問題をそのままにしておくことが社会の経済損失に繋がると認識されるようになってきました。
2013年に月経随伴症状による社会経済的負担が試算されました。その結果、月経に伴う症状によって発生する社会経済的負担が国内で年間7000億円も発生していることが明らかになったのです。このなかでも一番大きいのが労働損失で、およそ5000億円にものぼります。(参照:経済産業省 健康経営における女性の健康の取り組みについて)
こうした社会的な経済損失を回避するために、女性特有の健康課題を社会でサポートするフェムテックが重要だ、と認識されるようになってきました。
昨今高い関心が寄せられているSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)17の目標の1つである目標3の「すべての人に健康と福祉を」また、目標5の「ジェンダー平等を実現しよう」とも深く関わり、多様性の推進という点ではSDGsの根底を担う大事な取り組みとして注目されています。
これまでは、月経不調の対処をどうしているのか、どんなグッズでどんなケアをしているのか、など、情報を得る機会があまりなく、女性はひとりで悩むことが多かったのです。
しかし最近ではSNSが発達したことにより、個人の経験や情報が得やすくなりました。多くの女性が悩みを簡単に共有できる環境になり、女性の悩みが可視化されやすくなったことで、個人の課題ではなく社会の課題として浮き彫りになり、解決手段としてのフェムテックが注目されるようになったのです。
女性の健康やライフスタイルの悩みに応えるフェムテックケア製品やサービスは欧米諸国を中心に活気づいており、世界的に注目が高まっています。日本でも女性誌や美容誌で毎号特集が組まれ、フェムテックケア市場規模は拡大が予想されています。
一方、「フェムテックケアに興味はあるけれど何から始めたらいいか分からない」「何を選べばいいか分からない」という声も聞かれます。
気軽に始められるサービスとしては、セルフエステがおすすめです。セルフエステで定期的に自分の身体と向き合うことで、ちょっとした身体の変化や不調にも対応することができます。
また、VIO脱毛も効果的です。
アンダーヘアは汗によるムレやにおいの原因となります。生理のときのトラブルが起こりやすくなることもあるので、VIO脱毛で清潔に保つのがおすすめです。日々の不快感も減り、オイルやクリームを使った保湿ケアもしやすくなります。
また、気軽に取り入れられる商品としては、“デリケートゾーン専用のソープ”、“吸水性ショーツ”、“保湿ケアのためのオイルやクリーム”などがおすすめです。
昨今では、女性の活躍や多様性の推進が大きく後押しされています。もともと女性は家事・育児・介護など、家庭の仕事を主に担うべきとされてきましたが、今は結婚や出産、仕事も女性自身が選択する時代になってきました。
従来のように女性特有の悩みを一人で抱える社会は、テクノロジーの進歩と共に女性が生きやすい世界へと変革期を迎えています。
女性だけでなく、男性もフェムテック市場に介入できるような環境づくりや女性特有の悩みを理解してくことで、今後も様々なサービスや商品が展開されてフェムテック市場が成長していくのではないでしょうか。